働き盛りのうつ症状――「まだ働けているから大丈夫」と思っている方へ
働き盛りの方は、多少つらくても仕事に行けてしまうことがあります。
朝起きるのがつらい。
眠れない。
疲れが取れない。
集中できない。
仕事のミスが増えた。
休日は寝て終わってしまう。
以前は楽しめていたことが楽しめない。
それでも、「まだ出勤できているから大丈夫」「自分より大変な人はたくさんいる」「ここで休んだら迷惑をかける」と考えて、無理を続けてしまう方がいます。
しかし、出勤できていることと、健康に働けていることは同じではありません。
働き盛りのうつ状態は、はっきりした「気分の落ち込み」よりも先に、睡眠、疲労感、集中力の低下、仕事の能率低下として現れることがあります。
この記事では、働き盛りの方にみられやすいうつ症状、受診を考えてよいサイン、働きながら整える場合と休職を考える場合についてお話しします。
働き盛りのうつは、気づきにくいことがあります
うつというと、「一日中落ち込んでいる」「何もできない」というイメージがあるかもしれません。
もちろん、そのような状態になることもあります。
しかし、働き盛りの方の場合、最初から仕事を休むほどはっきり崩れるとは限りません。
むしろ、次のような形で始まることがあります。
- 朝起きるのが以前よりつらい
- 寝ても疲れが取れない
- 仕事の能率が落ちた
- メールや書類の確認に時間がかかる
- 人と話すのが面倒になる
- 会議や電話がつらい
- 休日に何もする気が起きない
- 家では横になってばかりいる
- 家族への返事がそっけなくなる
- 以前楽しめていたことに関心が向かない
本人は「疲れているだけ」「年齢のせい」「忙しい時期だから」と考えることがあります。
しかし、その状態が続いている場合、単なる疲労ではなく、うつ状態や強いストレス反応が関係していることがあります。
よくある身体と睡眠のサイン
働き盛りのうつ状態では、気分よりも先に身体や睡眠の変化が目立つことがあります。
たとえば、
- 眠れない
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝早く目が覚めて、その後眠れない
- いくら寝ても疲れが取れない
- 朝から身体が重い
- 食欲が落ちる
- 食べすぎてしまう
- 頭痛、胃痛、動悸、吐き気がある
- 休日に長く寝ても回復しない
このような症状があると、仕事のパフォーマンスにも影響が出てきます。
特に、睡眠の不調が続くと、集中力や判断力が落ちやすくなります。
普段なら簡単にできていたことに時間がかかる。
小さなミスが増える。
人の話が頭に入りにくい。
こうした変化は、気合いだけで解決するものではありません。
仕事で現れやすい変化
働き盛りのうつ状態では、職場での変化として現れることがあります。
たとえば、
- 仕事に取りかかるまで時間がかかる
- メールの返信が遅れる
- 判断に時間がかかる
- 確認作業が増える
- ミスが増える
- 会議で発言できなくなる
- 電話に出るのが負担になる
- 上司や同僚と話すのがつらい
- 仕事のことが頭から離れない
- 帰宅後も仕事の不安が続く
- 出勤前に動悸や吐き気が出る
仕事ができる人ほど、変化に気づいても「もっと頑張れば戻るはず」と考えがちです。
しかし、無理を続けるほど、回復に時間がかかることがあります。
「まだ働けているから大丈夫」と思っていても、実際にはかなり消耗している場合があります。
家庭や休日に現れる変化
うつ状態や強いストレスは、職場だけでなく家庭や休日にも現れます。
たとえば、
- 家に帰ると何もできない
- 休日は寝て終わる
- 家族と話す余裕がない
- 子どもへの反応が弱くなる
- 家事ができなくなる
- 趣味を楽しめない
- 予定を入れるのが負担になる
- 人と会うのを避ける
- 何をしても楽しくない
- いらいらしやすい
- 一人になりたくなる
仕事中は何とかこなしていても、家では完全に力が尽きている。
そのような状態は、働き盛りの方に少なくありません。
「職場では普通に見えているから大丈夫」とは限りません。
家庭や休日にどのくらい回復できているかも、大切なサインです。
気分や考え方の変化
うつ状態では、気分や考え方にも変化が出ます。
- 気分が沈む
- 楽しめない
- 不安や焦りが強い
- いらいらしやすい
- 自分を責める
- 将来を悲観する
- 涙もろくなる
- 何をしても意味がないと感じる
- 自分はいない方がよいのではと思う
- 消えたい、逃げたいと考える
こうした考えが出ているとき、本人は「自分の考え方が弱いだけ」と思ってしまうことがあります。
しかし、うつ状態では、物事を悪い方向に考えやすくなることがあります。
普段なら受け流せることが重く感じられ、自分を責める考えが強くなりやすいのです。
「自分が悪い」と決めつける前に、今の心身の状態を確認することが大切です。
※「死にたい」「消えてしまいたい」などの気持ちが強い場合や、自分を傷つけそうで不安な場合は、早急に身近な医療機関、救急、相談窓口などに連絡してください。
受診を考えてよい目安
次のような状態が続いている場合は、精神科や心療内科への相談を考えてよいと思います。
- 眠れない状態が続いている
- 朝起きるのがつらい
- 休日に休んでも回復しない
- 仕事のミスが増えている
- 集中力や判断力が落ちている
- 出勤前に動悸、吐き気、不安が出る
- 気分の落ち込みや不安が続いている
- 食欲が落ちている
- 家に帰ると何もできない
- 家族や周囲から様子が違うと言われる
- 仕事を続けるべきか、休むべきか迷っている
受診する目安は、「仕事を休んでいるかどうか」だけではありません。
まだ出勤できていても、心身の消耗が強く、生活に影響が出ているなら相談してよいタイミングです。
早めに相談することで、働きながら調整できる場合もあります。
一方で、状態によっては休職を含めて考えた方がよい場合もあります。
働きながら整えるか、休職を考えるか
働き盛りの方にとって、休職するかどうかは大きな問題です。
仕事を続けながら治療や生活調整を行える場合もあります。
たとえば、睡眠を整える、業務量を減らす、残業を減らす、通院しながら薬物療法や環境調整を行うことで改善を目指せることがあります。
一方で、心身の消耗が強く、出勤するだけで精一杯になっている場合には、休職を含めて考えた方がよいこともあります。
休職が必要かどうかは、次のような点を見ながら考えます。
- 睡眠がどのくらい崩れているか
- 気分の落ち込みや不安の強さ
- 集中力や判断力の低下
- 出勤できているか
- 業務を安全に続けられるか
- 休日に回復できているか
- 職場で調整できる余地があるか
- 本人がどのくらい限界を感じているか
休むことが必要な場合もあります。
働きながら整える方がよい場合もあります。
大切なのは、一人で「まだ頑張れる」「休んではいけない」と抱え込まないことです。
当院で大切にしていること
水道橋やまがたこころクリニックでは、症状だけを見るのではなく、仕事の負担、生活リズム、家庭での状態、ご本人の希望を含めて整理することを大切にしています。
働き盛りのうつ状態では、本人がかなり無理をしていても、周囲からは気づかれにくいことがあります。
そのため、診察では、睡眠、食欲、気分、集中力だけでなく、仕事で何が起きているのか、家ではどのように過ごしているのか、休日に回復できているのかも確認していきます。
薬が必要かどうか。
仕事を続けながら整えるか。
休職を考えた方がよいか。
診断書が必要か。
復職や職場との距離の取り方をどう考えるか。
こうしたことを一緒に整理していきます。
「まだ働けているから大丈夫」と思っていても、つらさが続いている場合はご相談ください。
早めに状態を整理することで、大きく崩れる前に対応できることがあります。
まとめ
働き盛りのうつ症状は、はっきりした気分の落ち込みだけでなく、眠れない、疲れが取れない、集中できない、仕事のミスが増える、休日に回復しない、といった形で現れることがあります。
出勤できていることと、健康に働けていることは同じではありません。
まだ仕事に行けていても、心身の消耗が強く、生活や家庭にも影響が出ている場合は、相談を考えてよいタイミングです。
当院では、症状だけでなく、仕事や生活の状況を一緒に整理し、働きながら整えるのか、休職を考えるのか、薬や診断書が必要かを一緒に考えていきます。
