子どもの問題は親のせい?親御さんだけで精神科に相談してよい理由
子どもが学校に行けない。
家で荒れる。
気分が不安定。
発達のことで困っている。
朝になると体調が悪くなる。
親子で話そうとしても、うまくいかない。
そのような状態が続くと、親御さんは「自分の育て方が悪かったのではないか」と考えてしまうことがあります。
もっと早く気づけばよかった。
怒りすぎたのではないか。
甘やかしすぎたのではないか。
家庭環境のせいではないか。
自分がちゃんとできていないからではないか。
子どものことで悩む親御さんほど、自分を責めてしまうことがあります。
しかし、子どもの困りごとは、親のせいと単純に決められるものではありません。
子ども自身の特性、学校との相性、友人関係、学業の負担、不安や抑うつ、睡眠、思春期の変化、家庭の状況など、さまざまな要因が関係します。
この記事では、子どもの問題を親だけで抱え込まないこと、親御さんだけで精神科に相談してよい理由についてお話しします。
子どもの問題を「親のせい」と単純に決めることはできません
子どもが不登校になったり、気分が不安定になったり、家庭で荒れたりすると、親御さんは原因を探そうとします。
もちろん、親子関係や家庭環境が子どもに影響することはあります。
親の関わり方を見直すことが役立つ場合もあります。
ただし、だからといって、子どもの困りごとをすべて「親のせい」と考える必要はありません。
子どもの状態には、いくつもの要因が重なっています。
たとえば、
- 子ども本人の気質
- 発達特性
- 不安の強さ
- 抑うつ状態
- 睡眠リズムの乱れ
- 学校との相性
- 友人関係
- いじめ
- 学業のつまずき
- 部活動や習い事の負担
- 思春期の変化
- 家庭内の緊張
- 親御さん自身の疲労
などです。
一つの原因だけで説明できることは、むしろ少ないかもしれません。
大切なのは、誰が悪いかを決めることではありません。
何が起きていて、どこで困っていて、これからどう支えていくかを整理することです。
親が抱え込みすぎると、かえって苦しくなることがあります
子どものことで悩んでいる親御さんは、とても多くのことを考えています。
学校に連絡しなければいけない。
子どもの様子を見なければいけない。
無理に行かせるべきか、休ませるべきか判断しなければいけない。
家族の中で意見が分かれる。
仕事や家事もある。
将来のことも心配になる。
その中で、「自分が何とかしなければ」と思い続けると、親御さん自身が疲れ切ってしまいます。
親御さんが疲れてくると、子どもへの声かけが強くなったり、逆に何も言えなくなったりすることがあります。
本当は心配しているのに、怒りの形で出てしまうこともあります。
子どもも、親が苦しんでいることを感じ取り、さらに話しにくくなることがあります。
親が悪いという話ではありません。
親御さんも、支えが必要な状態になることがある、ということです。
子どもを支えるためにも、親御さんが一人で抱え込みすぎないことが大切です。
親御さんだけで相談してよい場合があります
子ども本人が「病院に行きたくない」と言うことがあります。
精神科という言葉に抵抗がある。
自分は病気ではないと思っている。
知らない人に話したくない。
親に連れて行かれること自体が嫌だ。
学校や家のことを話したくない。
このような場合、無理に子どもを連れてくることだけが方法ではありません。
まず親御さんだけで相談し、今起きていることを整理することもできます。
親御さんから見た子どもの様子、家庭で起きていること、学校との関係、これまでの経過を整理することで、次の対応が見えやすくなることがあります。
たとえば、
- 今は無理に受診をすすめない方がよいのか
- どのように声をかけるとよいのか
- 学校とどう連絡を取るか
- 家庭で何を優先するか
- 生活リズムやスマホ・ゲームをどう考えるか
- 子ども本人を受診につなげるタイミング
- 親御さん自身の不安や疲労への対応
などを相談できます。
「子ども本人が来ないと意味がない」と思わなくて大丈夫です。
親御さんだけで状況を整理することにも意味があります。
精神科で親御さんにできること
精神科でできることは、子ども本人を診断することだけではありません。
親御さんと一緒に、子どもの状態を整理し、家庭でどのように関わるか、学校とどう距離を取るか、本人をどう受診につなげるかを考えることもできます。
たとえば、
- 子どもの症状や行動の意味を整理する
- 不安、抑うつ、発達特性の可能性を考える
- 家庭での声かけを考える
- 親子の距離の取り方を調整する
- 登校刺激をどの程度にするか考える
- 学校との連携方法を考える
- ゲームやスマホとの付き合い方を考える
- 生活リズムの整え方を考える
- 子ども本人を受診につなげる方法を考える
- 親御さん自身の疲労や不安を整理する
といったことです。
子どもの問題は、子どもだけを見れば解決するとは限りません。
家庭、学校、友人関係、本人の特性、親御さんの疲労などを含めて考える必要があります。
そのため、親御さんへの支援も大切です。
親御さん自身のつらさも相談してよいものです
子どものことで悩み続けていると、親御さん自身にも不調が出ることがあります。
眠れない。
不安が強い。
気分が落ち込む。
いらいらする。
涙が出る。
仕事や家事に集中できない。
子どものことを考え続けてしまう。
家族の中で孤立しているように感じる。
このような状態になることがあります。
親御さんが疲れ切ってしまうと、子どもを支える余力もなくなってしまいます。
子どものためにも、親御さん自身のこころと身体を守ることは大切です。
「子どものことで相談したいけれど、自分のつらさを話してよいのか」と迷う方もいます。
しかし、親御さん自身の不安や疲れも、相談してよいものです。
必要な場合には、親御さん自身の治療や支援を考えることもあります。
子ども本人を受診させる前に整理できること
子ども本人が受診できる場合には、本人の話を聞くことが大切です。
ただし、すぐに本人が受診できない場合でも、事前に整理できることがあります。
たとえば、
- いつ頃から困りごとが始まったか
- 学校に行けなくなったきっかけ
- 睡眠や食欲の状態
- 家での過ごし方
- 友人関係
- いじめやトラブルの可能性
- 勉強のつまずき
- 発達特性が気になる点
- ゲームやスマホの使い方
- 親子で衝突しやすい場面
- 学校との連絡状況
- 家族内で意見が分かれていること
こうした情報を整理することで、子どもの状態を理解しやすくなります。
また、本人を受診につなげるときには、
「あなたがおかしいから病院に行く」ではなく、
「困っていることを一緒に整理するために相談してみよう」
という伝え方の方が受け入れやすい場合があります。
当院で大切にしていること
水道橋やまがたこころクリニックでは、子どもの問題を「親のせい」と決めつけるのではなく、子ども本人、家庭、学校、発達特性、不安、気分、睡眠などを含めて整理することを大切にしています。
親御さんだけで相談を始めることもできます。
子ども本人がすぐに受診できない場合でも、今起きていることを一緒に整理し、家庭や学校での関わり方を考えていくことができます。
子どもの不調は、親御さんにとっても大きな負担です。
親御さんが自分を責めすぎず、少し余裕を取り戻すことも、子どもを支えるうえで大切です。
「子どもの問題は自分のせいではないか」
「子どもが受診を嫌がっている」
「親だけで相談してよいのかわからない」
「学校や家庭でどう対応すればよいかわからない」
そのような段階でも、ご相談ください。
まとめ
子どもの不調や不登校、発達の困りごとを、親の責任だけで説明することはできません。
子ども本人の特性、学校との相性、友人関係、家庭の状況、不安、抑うつ、睡眠、思春期の変化など、さまざまな要因が関係します。
大切なのは、誰が悪いかを決めることではなく、今何が起きていて、どう支えていくかを整理することです。
子ども本人が受診を嫌がる場合でも、親御さんだけで相談を始めることができます。
親御さん自身の不安や疲れも、相談してよいものです。
当院では、子ども本人だけでなく、親御さんや家庭、学校との関係も含めて、一緒に考えていきます。
