子どもを精神科に連れて行くべきか迷ったとき――受診の目安と相談できること
子どものことで心配があっても、精神科に連れて行くべきか迷う親御さんは少なくありません。
まだ様子を見てよいのか。
病院に行くほどのことなのか。
子どもが嫌がったらどうすればよいのか。
精神科に行くことで傷つかないか。
診断名がつくのが怖い。
薬を出されるのではないか。
このような不安は自然なものです。
子どもの精神科受診は、診断名をつけるためだけのものではありません。
学校、家庭、睡眠、気分、不安、発達特性などを整理し、どのような支援が必要かを考えるために相談することができます。
本人がすぐに受診できない場合には、まず親御さんだけで相談することもできます。
精神科受診は「診断名をつけるためだけ」ではありません
子どもを精神科に連れて行くというと、「何か病名をつけられるのではないか」と心配になる方がいます。
もちろん、診察の中で、うつ状態、不安症状、発達特性などを評価することはあります。
ただし、診断名をつけることだけが目的ではありません。
大切なのは、子どもが今どこで困っているのかを整理することです。
学校に行けないのか。
朝だけ体調が悪いのか。
家では元気なのか。
友人関係で困っているのか。
勉強についていけないのか。
不安が強いのか。
気分が落ち込んでいるのか。
発達特性が関係しているのか。
家庭内での緊張が強くなっているのか。
こうしたことを整理することで、家庭でできること、学校と相談すること、医療として支援できることが見えやすくなります。
受診を考えてよいサイン
次のような状態が続いている場合は、児童思春期の精神科や心療内科への相談を考えてよいと思います。
- 学校に行けない状態が続いている
- 朝になると腹痛、頭痛、吐き気が出る
- 眠れない、または昼夜逆転している
- 気分の落ち込みが続いている
- 不安が強い
- 怒りっぽくなった、家で荒れる
- 食欲が落ちている
- 以前楽しめていたことを楽しめない
- 人と会うのを避ける
- 家族との衝突が強い
- ゲームやスマホが止められない
- 発達特性が気になる
- 友人関係やいじめが心配
- 勉強についていけず苦しそう
- 自分を傷つける行動がある
- 「死にたい」「消えたい」などの言葉がある
- 親だけでは対応が難しいと感じる
受診の目安は、「学校に行けているかどうか」だけではありません。
睡眠、食事、気分、家庭での様子、本人の苦しさ、親御さんの負担なども大切なサインです。
特に、自傷行為や「死にたい」「消えたい」という言葉がある場合には、早めに医療機関や救急、相談窓口につながることが大切です。
子どもが受診を嫌がるとき
子ども本人が受診を嫌がることは珍しくありません。
「自分は病気じゃない」
「病院に行きたくない」
「知らない人に話したくない」
「親に勝手に決められたくない」
「学校のことを話したくない」
このように感じることがあります。
そのような場合、無理に連れてくることがかえって関係を悪くすることもあります。
まずは、受診を「悪いところを治すため」ではなく、
「困っていることを一緒に整理するため」
「学校や家で少し楽に過ごす方法を考えるため」
と伝える方が受け入れやすい場合があります。
それでも本人が受診できない場合には、親御さんだけで相談を始めることもできます。
親御さんから状況をうかがい、本人への声かけや受診につなげるタイミングを一緒に考えることができます。
診察では何を確認するのか
子どもの診察では、本人の話だけでなく、親御さんから見た様子も大切です。
たとえば、次のようなことを確認します。
- いつ頃から困りごとが出ているか
- きっかけがあったか
- 学校での様子
- 家庭での様子
- 睡眠や食欲
- 気分の落ち込み
- 不安や緊張
- いらいらや怒りっぽさ
- 友人関係
- いじめやトラブルの可能性
- 勉強のつまずき
- 発達特性が気になる点
- ゲームやスマホの使い方
- 自傷や希死念慮の有無
- 家族の中で困っていること
- 学校との連絡状況
子ども本人がうまく話せないこともあります。
その場合でも、親御さんの話や家庭での様子をもとに、少しずつ整理していきます。
また、年齢や状態によって、親御さんと一緒に話す時間、子ども本人だけで話す時間を分けることもあります。
薬は必ず必要なのか
子どもを精神科に連れて行くと、すぐに薬を出されるのではないかと心配される方もいます。
しかし、薬が必ず必要というわけではありません。
まずは、子どもの状態を整理し、家庭や学校でできることを考えることが大切です。
たとえば、
- 登校の仕方を調整する
- 学校との連絡方法を考える
- 睡眠リズムを整える
- 家庭での声かけを変える
- 子どもが安心できる時間を作る
- 学習や友人関係の負担を整理する
- 発達特性に合った環境調整を考える
といった対応が役立つ場合があります。
一方で、不安や抑うつが強い場合、眠れない状態が続いている場合、衝動性や自傷のリスクがある場合などには、薬物療法を検討することもあります。
薬を使うかどうかは、状態や年齢、困りごとの内容、ご本人や親御さんの不安を確認しながら考えます。
親御さんだけで相談してよい場合
子ども本人が受診を嫌がる場合や、まだ連れて行くべきか迷っている場合には、親御さんだけで相談することもできます。
親御さんだけの相談では、次のようなことを整理できます。
- 今の状態がどの程度心配なのか
- すぐ受診が必要そうか
- 家庭でどのように声をかけるか
- 学校とどう連携するか
- 子ども本人をどう受診につなげるか
- 登校刺激をどの程度にするか
- 生活リズムやスマホ・ゲームをどう考えるか
- 親御さん自身の不安や疲れをどう扱うか
親御さんだけで相談することは、「子ども抜きで勝手に決める」ということではありません。
子どもを理解し、本人に合った関わり方を考えるための準備でもあります。
当院で大切にしていること
水道橋やまがたこころクリニックでは、子どもの受診を、診断名をつけるためだけのものとは考えていません。
子ども本人の状態、家庭での様子、学校との関係、発達特性、不安、気分、睡眠などを含めて整理し、どのような支援が必要かを一緒に考えることを大切にしています。
本人が受診できる場合には、子どもの話を大切にしながら、親御さんから見た状況も確認します。
本人がすぐに受診できない場合には、親御さんだけで相談を始めることもできます。
「精神科に連れて行くべきかわからない」
「子どもが受診を嫌がっている」
「薬を出されるのが不安」
「学校とどう相談すればよいかわからない」
「親だけで相談してよいのか迷っている」
そのような段階でも、ご相談ください。
まとめ
子どもを精神科に連れて行くべきか迷う親御さんは少なくありません。
精神科受診は、診断名をつけるためだけのものではなく、子どもがどこで困っているのか、家庭や学校でどのような支援が必要かを整理するためのものでもあります。
学校に行けない、朝に体調が悪くなる、眠れない、不安が強い、家で荒れる、発達特性が気になる、自傷や「死にたい」という言葉がある。
そのような状態が続く場合は、相談を考えてよいタイミングです。
子ども本人が受診を嫌がる場合でも、まず親御さんだけで相談することができます。
当院では、子ども本人だけでなく、親御さん、家庭、学校との関係も含めて、一緒に考えていきます。
